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OrbanのOptimod

  •  *Orban(オーバン):アメリカのOrban Labs社が製造する、放送局向けの音響機器のブランド名です。
  • Optimod(オプティモッド):Orban社が製造する、特にラジオ放送の音質調整に使われるオーディオプロセッサーの製品名です。

つまり、Orbanは会社名、Optimodはその会社が作っている製品の名前です。

Optimodの役割

ラジオ放送では、音楽やトークなど、さまざまな音源を扱います。Optimodは、これらの音源を以下の様な処理をして、ラジオ放送に最適な音質に調整します。

  • 音量の調整:音量が小さい音は大きく、大きい音は小さくすることで、音量のばらつきを抑え、聴きやすい音にします。
  • 音質の調整:低音や高音を強調したり、特定の周波数を調整したりすることで、音のバランスを整え、クリアで迫力のある音にします。
  • 音圧の調整:音の密度を高めることで、より力強く、聴き応えのある音にします。

Optimodの重要性

Optimodは、ラジオ放送の音質を大きく左右する重要な機器です。

  • 聴きやすさの向上:Optimodによって調整された音は、音量のばらつきが少なく、音のバランスが整っているため、リスナーは快適にラジオを聴くことができます。
  • 音質の向上:Optimodによって音質が向上することで、音楽はより魅力的に、トークはよりクリアに聞こえます。
  • 放送エリアの拡大:音圧を高めることで、電波の届く範囲を広げ、より多くのリスナーにラジオを届けることができます。

Optimodが使われている場所

Optimodは、世界中のラジオ放送局で使われています。日本の多くのFM/AMラジオ局でも使われており、皆さんが普段聴いているラジオの音もOptimodによって調整されている可能性が高いです。

Orbanの競合

Optimodはラジオ放送の音質調整において非常に高い評価を得ている製品ですが、同様の機能を持つ競合製品も存在します。以下に代表的な製品とメーカーを挙げます。

代表的な競合製品とメーカー:

 * Wheatstone:

   * Wheatstone社は、放送業界向けのオーディオプロセッサーやミキシングコンソールなどを製造するメーカーです。同社のオーディオプロセッサーは、Optimodと同様に、音量や音質の調整、音圧の調整など、ラジオ放送に必要な機能を備えています。

 * Linear Acoustic:

   * Linear Acoustic社は、Dolby Laboratoriesの子会社であり、デジタルテレビ放送やラジオ放送向けのオーディオプロセッサーを製造しています。同社の製品は、特にデジタル放送における音質調整に強みを持っています。

 * TC Electronic:

   * TC Electronic社は、プロオーディオ機器メーカーとして、スタジオや放送局向けのオーディオプロセッサーを製造しています。同社の製品は、高精度な音質調整機能が特徴です。

競合状況

Optimodは、長年にわたってラジオ放送業界で高いシェアを維持しており、8割に達しているとも言われており、その音質や信頼性において高い評価を得ています。J-WAVEをはじめ、TBSラジオや文化放送ニッポン放送などがワイドFM開局時にも導入しています。また、コミュニティ放送局のエフエムたいはく(宮城県)にも導入されています。しかし、競合メーカーも常に新製品を開発し、技術革新を進めているため、競争は激化しています。

なぜFM局で導入されるのか

FM局でOrban社のOptimodが積極的に導入される一方で、AM放送ではあまり採用されない理由は、以下の技術的・運用的な違いにあります。

1. 音質の差と放送帯域の違い

FM放送は、20Hz〜15kHz程度の広い周波数帯域をカバーできるため、高音質での音楽や音声の再生が可能です。

→ Optimodは、この広帯域を最大限活かし、音圧を上げつつもクリアな音質を保つために効果的。

AM放送は、通常5kHz〜7kHz程度に帯域が制限されており、高域の再現性が低いため、音楽再生よりもトーク中心の番組に向いています。

→ Optimodのような高精度の音質調整は過剰となるケースが多い。

2. 伝送方式の違い

FM放送では、周波数変調(Frequency Modulation)により、ノイズ耐性が高く、音質の細部まで表現可能。

AM放送では、振幅変調(Amplitude Modulation)を使用し、環境ノイズの影響を受けやすいため、そもそもの音質改善に限界があります。

3. リスナーの期待値と用途

FMリスナーは、音楽番組などの音質に敏感な傾向があり、放送局はその期待に応える必要があります。

AMリスナーは、ニュース・トーク番組など内容重視で聞く場合が多く、音質の改善よりも可聴性が重視されます。

4. コストパフォーマンス

• Optimodのような高度な音声処理機器は高額であり、音質差が顕著に現れるFM局への導入が優先されます。

• AM局では、過剰な音質調整はコストに見合わないため、基本的なプロセッサーで済ませることが多いです。

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